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ダイヤビルレディースクリニック院長ブログです

先進医療タイムラプスインキュベーター

タイムラプスインキュベーターとは、簡単に説明すると。

 

体外受精・顕微授精で得られた受精卵を培養管理する培養器の内部に監視カメラがついているもの~

 

従来の培養器では、採卵後3~6日間にわたってインキュベーターの中の胚を観察するために、まるで冷蔵庫をあけて中のものを取り出すかのごとく、ガバーンと扉を開けて取り出して、数回の観察を行っていました。皆様からお預かりしている大切な胚、受精卵を育てるべく、培養器の内部の環境は、可能な限り子宮の中と同じような環境になるように設計されています。具体的には温度は37.0℃、酸素5%、二酸化炭素5~6%で常に一定に整えるよう管理されています。酸素が5%と聞くと、一見息苦しいような感覚を覚えるかもしれませんが、実は高い酸素濃度は細胞にとってはストレスをあたえることがあります。活性酸素という言葉はみなさん耳にしたことがあるかもしれません。そして二酸化炭素は高い方が細胞が育つ環境としては良い環境なのです。観察のために、ガバーンと扉を開閉して、胚をそのインキュベーターの外に出すと、培養室の大気と触れることで、温度も空気も大気にさらされるので、培養室内の気相が変化し、そういった変化は胚にはストレスがかかります。そのため、胚培養士がいかに短時間で効率よく胚を観察し作業をするかは、日々の課題でした。

タイムラプスインキュベーターは扉の開閉がないので、一定の環境で受精卵の成長を見守るシステムなので、環境の変化による受精卵へのストレスが軽減されることが期待されます。

また、タイムラプスインキュベーターは、数分ごとに受精卵の状況をカメラでとらえ、データを蓄積しているので、受精卵の分割の状況や細胞の動きが細かくわかるため、異常な受精や分割を見つけやすくなります。

 

当院では2020年より、タイムラプスインキュベーターを標準として全ての体外受精・顕微授精の患者様で利用していただいております。

今回保険診療での体外受精・顕微授精について、先進医療として申請し、併用していただくことが可能となりました。費用は1回につき税込み24000円です。

体外受精・顕微授精と併用で89000円~ 可能となりました。