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ダイヤビルレディースクリニック院長ブログです

day2初期胚とday5胚盤胞は何が違うのか?

平たく表現するならば「小学校2年生」と「小学校5年生」の違いです。同じ成長過程にあります。

体外受精・顕微授精でお預かりした卵子精子を受精させ、得られた胚(受精卵)をタイムラプスインキュベーターで確認すると胚の成長が観察できます。最初は1個の細胞だった受精卵は、細胞分裂を開始し、2細胞期胚、4細胞期胚と分割を開始します。おおよそ2日目のところでの4-8細胞期胚をday2初期胚と呼び、そのまま継続培養し桑実胚から胚盤胞になったところをday5胚盤胞あるいはday6胚盤胞と呼んでいます。その後子宮内膜に着床が可能で、妊娠が成立し、元気な赤ちゃんになっていくたまごであれば、day2もday5も同じ成長過程にありますので、良好胚であれば初期胚でも十分妊娠可能ですし、胚盤胞はもちろんそこまでインキュベーターで成長していることを確認しているわけですから十分妊娠できる胚であると考えることができます。

2021年3月31日までの凍結保存胚について

2021年3月31日までの体外受精・顕微授精で得られた凍結保存胚について

 当院では初回凍結日から2年間保存期間を設定しておりましたので、保存期間中の方はこのまま継続保存させていただいております。2年間の期限前後で当院から連絡をさしあげております。保存を延長する場合、妊娠中などで移植の計画が立たない場合は自費診療での延長となります。受診して頂いて、移植の計画を立案される場合は、保険診療で胚凍結保存維持管理の適応となる場合がありますので、診察時にご相談あるいはクリニック検査室までお問い合わせください。

当院で体外受精・顕微授精での治療を検討されている方へ 

どのように受診したらよいか?保険でできるのか?お問い合わせが多いのでこちらでお答えしておきます。

 

~当院で体外受精・顕微授精での治療を検討されている方へ~

 

2022年4月1日より保険診療でも対象の患者様について体外受精・顕微授精をスタートしています。2021年3月31日まで当院でおこなっていた、体外受精、顕微授精の治療方式は、ほとんどが今回の保険診療の適応で認められており、大きな違いはありません。妊娠率、出生率についても、2022年3月までの当院の治療成績(データ)も日本産科婦人科学会の報告されている妊娠率、出生率とほぼ同じ、あるいはそれ以上の成績がでております。これからも当院に来院していただいた患者様に良い治療成果が出るよう、引き続き邁進してまいります。

 

受診の方法としては、

① 事前に無料の勉強会「妊活セミナーなごや」をうけていただき、その後診察を受診していただく

 

理解もスムーズで望ましいです(私の説明は大変わかりやすいとのことで毎回ご好評いただいております、他院で体外受精検討あるいは治療中の方もセミナー受講していただいて構いません。当院での治療にも私の説明にも確信と自信があります。)

 

② 体外受精希望で初診で受診(できればご予約をいただけるとありがたいです。)

 

 受診が先でも構いません。少しショートバージョンで体外受精とは何か、顕微授精とは何か?お話しいたします。外来診療ではたくさんの患者様におこしいただいているため、すこしコンパクトではありますが、ポイントを絞って説明します。

 

初診時に必要な検査が行われているか、それまでのステップアップが問題ないか確認し、治療を開始していきます。いままでの検査データなどがあれば持参していただけるとありがたいです。

先進医療タイムラプスインキュベーター

タイムラプスインキュベーターとは、簡単に説明すると。

 

体外受精・顕微授精で得られた受精卵を培養管理する培養器の内部に監視カメラがついているもの~

 

従来の培養器では、採卵後3~6日間にわたってインキュベーターの中の胚を観察するために、まるで冷蔵庫をあけて中のものを取り出すかのごとく、ガバーンと扉を開けて取り出して、数回の観察を行っていました。皆様からお預かりしている大切な胚、受精卵を育てるべく、培養器の内部の環境は、可能な限り子宮の中と同じような環境になるように設計されています。具体的には温度は37.0℃、酸素5%、二酸化炭素5~6%で常に一定に整えるよう管理されています。酸素が5%と聞くと、一見息苦しいような感覚を覚えるかもしれませんが、実は高い酸素濃度は細胞にとってはストレスをあたえることがあります。活性酸素という言葉はみなさん耳にしたことがあるかもしれません。そして二酸化炭素は高い方が細胞が育つ環境としては良い環境なのです。観察のために、ガバーンと扉を開閉して、胚をそのインキュベーターの外に出すと、培養室の大気と触れることで、温度も空気も大気にさらされるので、培養室内の気相が変化し、そういった変化は胚にはストレスがかかります。そのため、胚培養士がいかに短時間で効率よく胚を観察し作業をするかは、日々の課題でした。

タイムラプスインキュベーターは扉の開閉がないので、一定の環境で受精卵の成長を見守るシステムなので、環境の変化による受精卵へのストレスが軽減されることが期待されます。

また、タイムラプスインキュベーターは、数分ごとに受精卵の状況をカメラでとらえ、データを蓄積しているので、受精卵の分割の状況や細胞の動きが細かくわかるため、異常な受精や分割を見つけやすくなります。

 

当院では2020年より、タイムラプスインキュベーターを標準として全ての体外受精・顕微授精の患者様で利用していただいております。

今回保険診療での体外受精・顕微授精について、先進医療として申請し、併用していただくことが可能となりました。費用は1回につき税込み24000円です。

体外受精・顕微授精と併用で89000円~ 可能となりました。

性感染症にご注意

 全く症状がない、あるいはすこしおりもの(帯下)が気になる、においがきになるなどで、受診し、検査をさせていただくことがあります。その中で、性感染症クラミジア、淋菌、梅毒)がみつかる症例が特に増えています。要注意です。特にこの1年で多くなっている印象です。大切な自身の身体、そしてパートナーの健康も守るため、適切な検査および治療を受けましょう。自宅でできる簡易キットも散見しますが、自己採取は偽陽性はすくないとおもいますが、偽陰性は否定できません。簡易キットで検査後受診されるかたも、診察で検査が必要な場合は院内で検査をします。クラミジア、淋菌については院内ラボで15~20分で検査結果確認可能です。

AMH検査について

体外受精にて採卵を行う計画がある患者様において、AMH(anti-mullerian hormone)の検査が保険診療で行うことができるようになりました。当院はAMHの値のみならず、経膣超音波でのAFC(前胞状卵胞数のカウント)も大切にしています。採卵を計画するにあたっては月経中に経膣超音波を行うこともあります。経膣超音波検査は機器の性能はもちろんですが、検査者のテクニックも重要になってきます。熟練の技術がある検査者に施行してもらうのが良いと考えます。

 またAMHについては、私はあくまで現在の卵巣の体重測定だと思っています。多少変動はあります。一喜一憂することなく、現在の状態を知る意味では価値はあると思いますが、それがすべてではありません。ましてや卵巣年齢がわかるという考え方は全く的外れだと思います。

体外受精の保険診療治療回数の数え方

治療開始が43歳未満である必要があります。40歳未満であれば通算6回まで(1子ごと)、40歳以上43歳未満であれば通算3回まで(1子ごと)となります。胚移植の回数でカウントしますので、2022年3月までの特定不妊治療助成金の回数の考え方と異なります。

例えば、治療計画し採卵、新鮮胚移植で1回。

    治療計画し、胚凍結、融解胚移植で1回。

    治療計画し、採卵、採卵の場合は0回です。

人工授精には年齢制限はありませんが、適応病名遵守です。